11CLIPでは京都や関西圏を中心に愛犬動画制作を行っています。愛犬動画は「愛犬の家族の思い出を”かたち”に残す」というコンセプトで制作を行っています。犬と家族の思い出はご家庭によってそれぞれ、今回は11CLIPを応援してくださっている方から、愛犬との思い出物語をお寄せいただきましたのでご紹介いたします。

 

今もどこかで生きていて

私が産まれた頃から、いつも側にいたシロ。白いからシロなんて適当な名前だけど、私が1歳位の頃、何げに言葉に出したから両親は名付けたらしいです。物心が付いた時には、いつも離れず付いて来ていたのを覚えています。足の短い、少し薄汚れた毛色をした雑種犬ですが、私には弟のような存在です。

砂遊びから疲れ帰った時、母が泣いていました。意味が解らないまま立ち尽くす私の足元に、何度も何度もシロが顔を寄せてきます。何も言わずに母は、大きな袋やらを拡げ、私の服や荷物類をまとめていました。何となくでしたが、幼さ心にこの家から出て行くんだと感じました。

母は大きな手を差し出し、私の手を引き歩き始め、バス停へ。後ろからシロが追い付き、別れを惜しむかのように顔を舐め、鳴き続けています。やがてバスが来て母と二人、バスへ乗り込みます。シロはずっと追いかけてきていましたが、いつしか見えなくなりました。

この頃、父母は仲が悪く喧嘩の毎日で、とうとう離婚したんだと教えてくれました。それから数年、シロの事が気掛かりで、母にお願いをして当時近くに住んで居た知人の方に尋ねてもらったりしましたが、解らないとの返事。

13歳の中学年になった私は、シロに会いに行く決心をしました。いつも側で寄り添い、顔を舐めて甘えん坊、恋しくて会いたくて堪らない。やがて電車やバスを乗り継ぎ、覚えのある風景。産まれ育った場所、あの風呂屋の坂を下った左側の家が私の住んでいた家。けれども着けば何も無い。近くを歩く人を引き留めて尋ねてたら、私と母が出て行った10年前に父が出火し、シロともに亡くなっていたとの事でした。母が私を元家に行くことを許可しなかった理由が解りました。シロ、ごめんね。何も知らなくて。ごめんね、シロ。